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Channel: 続、職人のひとりごと
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こう言うオーダーがしたい、、、と思わせてくださったマリッジ。

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マリッジリングやエンゲージリングに始まり様々な製作をさせていただいています。

銀座にオープンしてすでに13年目になりましたが、製作をする上で、非常に印象に残り、こう言う物作りをさせていただけたら、、、、と言う想いが強くなったお話しをしたいと思います。





上があまり上手ではないので、デザイン画と呼べるかどうかですが、お客様がなるべくイメージしやすいように、グレーな部分がなく、やって良かった、と思っていただけるように、絵よりも文章の方が多くなります。職人なもんで、自分でもわかりやすくお客様の想いや、ストーリーが理解出来るようにのデザイン画になりますから、デザイナーさんが書かれた体裁よく、はないと思っています。


で完成品が下の画像です。


お二人がマジックがきっかけで出逢われた事、ご主人様自体がマジックを本業ではないですが、本格的にやられていた事もあり、マジック(手品)にまつわるモチーフで、と始まりました。

ご結婚を機にご主人様はやっていたお仕事をやめて、ご実家の家業を継がれて将来的には社長さんになられること、忙しくなってマジックもなかなか身近に出来なくなるし、マジックの想いも強くなるだろうから、、、、、と言う思いもあったように思います。

奥様のリングが上の絵なんですが、共通のモチーフを使いたくて、マジック🟰鳩‼️で、、、、

ただ鳩をわかるように使うのは、この先ご年齢も重ねられて行くので、ダサくなるから私はあまり入れたくなくて、お二人にだけ、よーくみるとわかるように、デフォルメして、、、、ただこじつけ、こちらの押し付けにだけはならないように。

と書きました。鳩が上下で背中合わせで、それを手彫りで彫ると印影がでるので、通常の幾何学のような続き柄のテクスチャに見えるように、彫りました。

ご主人様の指輪は、外からみると、ミルグレイン加工の側面コンビネーションのリングで、男性がつけて悪目立ちしない、デザインですが、これの仕掛けは、内側、、、、‼️

アカンサスの総彫りの中にマジックで使うスティック、鳩、手袋、「これがそうです」と私が説明しないとわからないように、テクスチャの中に隠して飾り彫りにしました。

本当は鳩が向き合って、とご提案したんですが、中国の比翼の鳥と言う伝説の鳥に変えて、、、、

この鳥は一生幸せにお金に困らない様にとの伝説上の鳥だそうです。

アカンサスは枯れない葉っぱ、、、、増える葉っぱ、鳩は平和の象徴と、全てのモチーフがお二人のこの先の永遠に幸せに楽しく暮らせるようにのモチーフとお二人のストーリーが上手く描けた満足の製作になりました。

きちんとお二人の想いやストーリーを他の方はわからなくていいんですが、お二人に共有してもらいたいし、ずっと忘れずに指輪みて思い出したら、またとっても楽しい、幸せなご家庭、夫婦になられるだろうな、の想いもあって、、、、作らせていただいた後も幸せな気持ちになられてお客様にも非常に喜んでいただいたマリッジになりました。


出来ればお一人、お一人のお客様全てに、思いが残る、または、幸せな気持ちになれる物作りをしたい、と、常に心がけて磨いていきたいと思っています。


カッコ良くて、2人にだけ共有できて、ストーリーがあるモチーフに、私にだけしかできない製作、、、、、、、。と言う意味でもプラチナ、ピンクゴールドやプラチナ、イエローゴールドのコンビネーションに、ミルグレインでも、これ専用のミルタガネを研いで、マイクロに近い極小のミルグレイン加工、、、細かく綺麗になれば、なるほどミルもメレダイヤも、より高級感もましていく様に、さらに普段使いでも浮かないで悪目立ちしない様にさせていただきたいなぁ、と。










彫りの中に必ずご家族様のイニシャルだったり、誕生石だったり、しかもお二人にしかわからないように、、、がなんか控えめでカッコ良くて上品な様な気がして。この先お年を召して、子供さんが生まれたりして歴史を重ねていく指輪は特に、将来的に一生使えるものにしていきたいと思っています。


久々の超大作blogになってしまいますが、昨今、ブライダルリング専門店様でも、インターナショナルブランド様でもなるべくならサイズ直しはしない方が良い、とご説明されて、やもすると、新たにお買い求めしてください、とか、サイズ直しは指輪を切りますから縁起がよくないとか、なんか方向違いのご説明をされたりしているお店もあるようですが、

そんな安い物ではないし、、、、ましてや、マリッジやエンゲージはプロミスリング、、、約束の指輪ですからね、、、、、、新しくする、、、にはなんか抵抗が、私はあります。


そもそもジュエリーって、中世ヨーロッパで、貴族、皇族、王室などが、より力を持っている、お金を持っている、力の象徴として競ってつくり、それを憧れた、一般市民が作る様になっていった、と簡単に説明すればそう言うもので、代々受け継いで、は早々買える物ではないし、石も同じものはなかなかない、と言う意味でも、買い直しはない文化だと思っていたんですけどね、、、、。

作り替え(リフォームやリペア)をしながら唯一無二として残るべく作られた物のはず、なので、、、、指輪切る=縁を切るじゃなくて、、、

あの時の約束、あの時の人々の想いを忘れないものであってほしいんです。

だからメンテナンスに課金しないで、永久無償にしてずっと良い状態で使っていただけるように、との職人の思いでもあるので、ご理解いただけると幸いです。


本来はサイズ直しも、彫り直しも磨きも、材料費や工賃はかかるんですが、、、、私の職人としての想いやお客様の想いを尊重して、見栄張ってやってるみたいなもので、、、、、、社内の人々からは非常に評判は悪いです、、、、、お金かかるのに💢‼️って、、、、😅😅😅


オートクチュールのオーダーってそうじゃなきゃ、って作り手は思っているし、自分の仕事として、残る物ですから、「まあいっか」や、「適当に」はさたくないし、、、、職人である以上、そんなプライドすら感じられない物作り、や作業はしたくないと、思っています。

すみません、理屈っぽくて、、、、

でもそのためのレーザー溶接の世界特許まで取得して、アンティークの直しであろうと、新たな製作や修理、作り替えであってもできる様にの想いだったんで、、、、それもご理解ください。


仕事に嘘はイヤだし、、、、

世界有数の国宝から、縁日の指輪まで、見て来て、感じて作業したからこその思いだとご理解いただけたら嬉しいです。



すみません、本当に「職人のひとりごと」でした。



臼澤昭彦


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