先日メールでお問合せいただきお見積もりをさせていただいたお客様が本日お見えになっていただき、いろんなお話をお聞かせいただきました。
カルティエさんの3連のトリニティとラブリングのホワイトゴールドをお持ちになっていただいて、お困りとのことでお仕事をやらせていただくことになったんですが、、、、、、、、、、以前にもブログで書きましたが、
あまりにも無知で、適当な業者さんが多いみたいですね、、、、、、、、、、、、。
作業内容が、、、、、、、、ひど過ぎます!!
まず一つはラブリングのホワイトゴールド、、、新品仕上げを頼んだらしいのですが、見た目で一発で薄くなって、軽くなっています。このサイズであれば最低でも13g前後地金がついているはずです。
が、、、、、8g、、、、、、、で一見ミニラブかと思えるほど薄く、細い、、、、明らかに削りすぎです。
カルティエさんでもそうそう磨き直しはしないはずです。おそらく3回くらいまでではないでしょうか。
削りすぎで軽く薄くなってしまってフォルムが崩れることをブランドさんは一番嫌います。
それで軽く、薄くなってしまったら、カルティエではない!!という判断からだと思います。
でも職人ならそれだけ削ったら形変わっちゃうってわかるはずなんですよね、、、、、、、、、、、、、
で、それがブランドものなら尚更、フォルムを崩したり刻印を削り落としたらダメだって、、、、、、、。
もう一個のトリニティは磨きすぎて、、、、、刻印がない!!
正直どちらも素人目に見てアフター加工品だってわかってしまう、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。
売却をしないのであれば、アフター加工はオーナー本人が知っていれば他の方はわからなくていいと思います。
プロならアマチュアの目はごまかせないと、、、、、、、、
失敗をごまかせるからプロなんです。
きれいに作れたり、面白く作れたりするだけじゃ、アマチュアです。
アマチュアは失敗をごまかせません。
うちの若いもんもそうですが、今うちなんかレーザーで溶接できるからすぐ作業ができるようになります。
「職人だから」って言ってますが違います、、、、、まだ丁稚(デッチ)です。
それでお金もらえるほど甘くありません。
僕は恥ずかしながらロー付け一つ覚えるにしても必死に寝る間も惜しんでやって1年半かかりました。
自分である程度どんな地金でも自由自在にローを操ることができるようになるまでです。
パリに行ったとき、「僕はロー付けなら10度刻みで温度がわかる!!」と豪語したくらい。
売っているローをそのまま使ったことはありません。自分で作ってました。
ロー目が出ずらいように、ロ-付け個所がわからなくなるには、、、、、、、、って。
最近ではそんな職人もいなくなってしまったようで、、、、、、、、、、、、、。
売っているまま使って、「ロー目はしかたない」って言います。そんなことあるか!!(怒)
「いいか、小僧!!素人にわからないように細工してこそ職人だ!!その辺のメーカーの担当者にわかるようじゃ、職人ですって看板出せねえんだよ!!、どーせ、作業してない奴なんて素人とかわんねんだからよお」
って、、、、、、、、(苦笑)ちなみに、、、素人って、、、、メーカーや問屋の人です(笑)
ブシュロンのキャトルリングにしてもダイヤついてたら85万円くらいするし、カルティエのラブにしたってトリニティにしたって20万以上する指輪ですからね、、、、、それを内側削ってサイズ広げましたって、、、、、お粗末すぎるでしょう!!。
刻印も消えちゃうって、、、意味ないし。再刻印したら、、、、それだけで犯罪ですからね、、、、、、、、、、。
なんか違いますよね、、、、、、それで15000円くらいとるんだからちょっと気が知れません。
うちのお客様で、「こんな安物なんですけど、、、、」って持ってきてくださるんですが、、、、、、、
僕はお値段ではないと思うし、たとえそれがアクセサリーで貴金属、レアメタルの加工屋からしたら専門外かもしれないですが、どこもやってくれなくて、それでもなおしたい、作りたいと思ってうちに見えてくれたのなら何とか直したいし、作って差し上げたいと思っています。
正直100万円の商品やっていたほうが儲かるかもしれないけど、、、、、そこはお金じゃないんですよね、、、、、。
そりゃ僕だってお金は欲しいし、たくさん儲かったほうがいいけど、ジュエリーやアクセサリーという趣向品を扱っている以上、お客様の「想い」をくみ取りたいし、白黒の思い出をカラーにして差し上げたいと思っています。
あんまりえらそうなことは言えないんですけどね、、、、、、。
ただ、レーザーで付けるだけだったら、うちの6年生のいや、、、、2年生の娘にだって教えたらできますからね、、、、現に自分のアクセサリー作ってたし、、、、、、、、
それをとれないように、外れないように、ロー付けよりも強くて、巣(泡というか気泡です)がなく付けるのがある程度技術が伴っていないとできないんであって、それができないんだったら受けてはいけないんではないかと思います。
色が変わらないようにとは、地金の割金まですべてそろえてあげないと、微妙な成分の違いで色は変わるし、それもX線テスターがあれば0,01とか0,02%の誤差である程度併せられるはずだし、それは付け足してレーザーで溶かす金属も当然同じにしないと、、、、今度は地金を足しこんだところだけ色が確実に変わってしまいます。
職人の仕事のお値段には必ず理由があります。
今は3Dなんてできてきているから、それなりには誰がやっても見えるんですが、手をかけたか、かけないかは少なくとも僕にはわかるつもりです。
それをわからないことをいいことに法外な値段をつける、、、、、、、、
仮に単価安く販売されていたものでお直しやリフォームの代金が結構かかってしまうと予想されるとき、
決まって販売店さんがおっしゃるのは「新しくお買い求めになられたほうがお安いかと、、、、、」
最近のお客様はバカじゃないんだからそれくらいわかっています。
今それが買えない人ではないことがほとんどです。
だけどなぜ直したいのか、なぜ作り替えたいのか、、、、、その理由を聞かずしてそれだけでいいのか!!と思います。
僕の作業が全て正解かと言ってるわけではないんです。
ただ、、、、、、自分の本来の仕事に嘘をついてまで、売り上げはいりません。
正当に正直に加工してその加工の対価として代金を頂戴しているだけです。
いかにお客様のお品物をいい形でお返しできるか、ちゃんとした形でお返しできるか、、、、、、、、
まだまだ修業です、、、、、、、、、、。
このリングはすでに6年前に作らせていただいた奥様のマリッジとして作らせていただいたリングです。
お子様(男の子)がお二人、5歳と2歳のお子様のお母様になられて子育てに奮闘されていらっしゃるお客様のリングですが、今回、ご主人様が、奥様に対して感謝の意味で何か作ってあげたくてと、お見えになっていただき、前回写真をとっていなかったのでとらせていただきました。
通常、フルエタニティのリングをマリッジにということは相当無理があります。
当時僕がご説明させていただいたのは、まずキャストでやった指輪をフルエタニティにしてマリッジで使うと確実に変形しますしダイヤは外れてなくします。ということと、かといってメーカーさんで作っている所謂空枠のリングでも変形も石とれも起こりますし、お子様ができたとき顔に引っかかるような爪留めはやめたほうが賢明ですとお伝えしました。
でもこのデザインがどうしても欲しくてと、、、、、それじゃあ手造りでということでお打ち合わせをさせていただいて、作らせていただいたのです。
石がとれたこともないですし、変形もなくいまだ、ちょっと磨けば(5分くらい)でこの状態でお使いになれます。
強度を出すために通常よりも地金が割れない程度に焼きなましをして叩いて地金(プラチナ900パラジウム割)で強度を付けていって、一個づつダイヤが座る石座を手造りで作り、それをリング状に寄せてレーザー溶接で溶接を1個、1個していって手間を3倍も4倍もかけてあります。
キャストでやれば、、、、と今の職人さんはきっとおっしゃると思います。
「無駄だ!!」という人さえもいると思います。
単価を上げるだけじゃないかとも、、、、、、、、、でも変形もしていませんし、石も取れていません。
磨きだって3年に一度、しかも爪すら修正していません。
3Dやコンピューターが出せない職人の仕事をしています。
時間はかかって、値段も高くなりましたが、、、、、、、、、、、一生使える指輪にしてあります。
職人の仕事ってそういうもんなんです。
ダレも出ていませんし、、、画像の撮り方が下手なだけです(苦笑)
職人の仕事に無駄なことは決してありません。
本当に、、、、うちの親方が言っていた言葉で、、、、、、、
「職人で仕事をして仕事の質を自分で下げることは絶対にねえよ。仕事の質を下げてるのは、業者やお客さんだから、、、、、、なんてったって買えりゃあいいんだから、、、、、、、、、」
お客さんは事情も分からずすべて同じだと思っているから安ければう安いほうがありがたいに決まってますが、、、、、でも、、、、、、ちゃんとご説明をすれば、、、、それは無理だって気づくはずです。
「高けりゃ買わなきゃいい!!、その仕事にものにそのお金を払ったっていいと思って買うのが本当の買い物だ!!」ってことも付け加えときます。
加工の方法、作り方、お使い向きでなるべくご相談、ご予算には合わせることができるはずですし、、、、、、、、
うちは売り込み、セールスは一切しませんからとりあえず説明だけでも直すにしても、作るにしても、聞きに来てください。別に無理に僕に預けてくれなくてもいいですから。後悔だけはないように!!
ジュエリーに対して願っているのはそれだけです。
どうぞご参考までに!!